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広がり続ける「広報力」空間~広報コミュニケーションの近未来を探る Vol.3

広報は地方創生のエンジン 「人を巻き込む力」で活動が加速する
~地域活性化とコミュニケーションの今後

本記事は、月刊「広報」連載「広がり続ける広報力空間~広報コミュニケーションの近未来を探る」から一部を抜粋したものです。

  • 田中里沙
    株式会社 宣伝会議 取締役副社長兼編集室長 / 事業構想大学院大学 教授

話題になったときが広報のチャンス

国、各省庁、自治体において、さまざまな地域の取り組みに対する表彰制度があり、受賞者および関係者はその栄誉に誇りと喜びを感じる。受賞においては、少なくとも専門メディアは報じてくれるだろうし、意識せずとも、広報的な考え方や実働が存在するのだと思う。私も、審査会を通して、各地で実施されている素晴らしい企画に出合うことは喜びであり、画期的な事例については多くの方に話して伝えたいという気持ちになる。

そこで、課題は、その後の広報活動である。表彰式が開催され、ホームページで公表されても、情報過多社会の中にあってはニュース自体が短時間で消費され、埋もれてしまう。受賞をきっかけに、広報に本腰を入れることができれば、地域の魅力は一気に広がるところだろう。人は少し知り、接点のできたことを深く知りたいと思う習性がある。わずかなことでも話題になったときは広報のチャンスだ。表彰状を飾って終わりではなく、受賞にいたった経緯、苦労、大勢の人の協力など、背景にある物語を打ち出していくことが得策だと思う。同時に、他地域における成功のプロセスから学ぶことも大切だ。

 

広報が伴走しながら適切な手法を選択

この先、広報の手法はますます多様化していく。デジタル活用の動画、アプリ、体験型コンテンツなど、技術革新は日進月歩だ。生活者のメディア接触が大きく変化している中で、以前のように情報を発信しても、同様の効果が得られないのが課題になっている。年代や趣味趣向により、生活者は自分に合ったスタイルで情報を取得する傾向もみられる。細分化されたメディアの特性を把握した上で、情報発信をしなければいけない時代なのである。

専門業界では、広告、広報、販売促進など手法が分類されるが、これらすべてを束ねるのも広報の役割である。広告する内容や素材自体を広報する、プロモーションやイベントの実施を広報する、という従来型のスタイルに留まらず、広報を中心にして、あらゆる展開を一連で実施していくことが待たれているのである。時間軸の長いもの、短いものなど、企画はさまざまあるが、それぞれに適切な方法を見定めながら、広報が伴走していくことが必須であり、この手法は新しいトレンドになりそうだ……

※記事の全文は、月刊「広報」2016年1月号でお読みいただけます。

たなか・りさ

三重県津市出身。広告会社勤務を経て株式会社宣伝会議に入社。広告、マーケティングの専門誌『宣伝会議』の編集長を務め、2007年から編集室長。2012年から事業構想大学院大学教授。専門は広告コミュニケーション、メディア動向・分析、広報紙の企画・取材・編集全般。全国広報コンクール広報紙部門審査委員、東京2020エンブレム委員会メンバー、伊勢志摩サミット・ロゴマーク審査委員会委員を務める。情報系テレビ番組にコメンテーターとして出演。

 

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