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ケータイサイトを利用した自治体広報

  • 河井 孝仁
    東海大学文学部広報メディア学科助教授

情報社会の新たなインフラ

皆さんのポケットやバッグの中に当たり前のように入っているケータイ(携帯電話とPHSを含め、さらに「電話」以外の機能を重視した表現として用いています)。10年前の1996(平成8)年1月には、全国で844万台と10人に一人も持っていない道具でした。今や携帯電話とPHSで9,420万台(2005(平成17)年11月)と既に単なる「道具」の域を超え、情報社会の「インフラ」ともなっています。

このようななか、2004(平成16)年調査では関東甲信越でケータイ向けサイトを提供しているのは284自治体、37%にとどまっていました。しかし、現在、カメラ付きケータイに適合した二次元コードによるアドレス告知やケータイからの施設予約、動画情報の提供など積極的な活用を図る自治体も生まれています。

 

地域住民にとって身近なメディアである「ケータイ」

広島県尾道市で展開されている「どこでも博物館」や、神奈川県横須賀市での住民票写し交付予約システムなど市民やお客様にとって有益な試みも始まっています。また、最近の子どもをめぐる犯罪に対応して不審者情報などを知らせる自治体も増えています。

今後もこのようなケータイ活用は広がっていくと思われますが、その際のキーワードに「連携」という言葉があると考えます。

ここにはいくつかの意味がありますが、まずケータイとPCの連携があります。ケータイの進化により、利用者の1割がフルブラウザと呼ばれる機能を利用してPC向けページの閲覧経験があることには注目できるでしょう。そのほかにもケータイとPCを単独で考えるのではなく、連携したサービスを提供する。そのような対応が必要になると考えます。

また、メールとウェブページの連携も必要です。多くの情報がWebにより提供され始めていますが、ケータイを主にメール端末として利用されている方が多いことも確かです。「Webページで提供しているから」にとどめないメールとの連携は既に取組もあり、今後の広がりに期待したいところです。

 

市民からの要望を実現する「連携」がかぎとなる

最後に、地域における自治体・NPO・地域企業のつながりが最も重要な「連携」になります。情報内容についても、情報流通についても、地域のステークホルダーであり、ともに市民からの負託を受けたアクターとして積極的な連携を模索する。それによって、主権者である市民が安心、安全、元気に生活できる「まち」が生まれる。それはケータイ活用についても同様であると考えます。

かわいたかよし

静岡県生まれ。1977(昭和52)年静岡県庁入庁。企画部情報政策室・財団法人静岡総合研究機構等に勤務。2005(平成17)年静岡県退職。専門は「電子社会設計論(eコミュニティ、NPOと企業のパートナーシップ)」名古屋大学大学院情報科学研究科博士後期課程。静岡大学客員教授。NPO法人アクション・シニア・タンク理事等。日本広報協会月刊『広報』に「ネットでつながる地域の絆~ICTを活用した地域情報交流~」を連載中。

【著 書】
『自治体モバイル戦略』(信山社・共著)、『コミュニティ』(日本経済評論社・共編著)など

 

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