医療機関広報サポート

リポート 「第1回医療機関広報フォーラム」

Home Care MEDICINE 2003.1月号
Home Care MEDICINE
2003年1月号

2002年10月19日、社団法人日本広報協会主催による「第1回医療機関広報フォーラム」が、「全職員の“広報マインド”が患者や地域との信頼を築く特効薬」をテーマに、東京都渋谷区の長井記念ホールにおいて開催された。同フォーラムは、広告規制の緩和によって医療機関の広報力が問われるなか、患者や利用者、地域・社会との間に信頼を築き、経営を支える広報活動の活性化のための指針やヒントを提供しようと、広報関係の学識者やジャーナリスト、広報活動を積極的に展開している医療機関の担当者などを講師に招いて実施されたもので、医療機関の経営者などを中心に全国から110人の参加者が集まった。ここでは、講演を行った3氏の要旨を紹介する。

 

患者が求める情報は何か?

読売新聞の長期連載「医療ルネサンス」欄を担当する読売新聞社編集局医療情報部記者の渡辺勝敏氏は、「進む医療機関の情報発信~ジャーナリストから見た 病院広報のあり方」と題して講演。同氏は冒頭、医療への満足度などを尋ねた同社の調査(2001年12月、読者3,000人を対象に実施)から、1985年の調査と比較して満足度が低下している点を示し、「医療に対する患者の目は厳しさを増している」と指摘した。

情報への門戸が開かれるほど、消費者はより厳しい目で医療機関を選ぶようになる。しかし一方で、実際に受療した後の患者の満足度は低いという現状がある。この点について、同氏は「患者の知りたい情報と実際の病院選択にギャップがある」とし、「医療機関の情報が市民に届いていないのではないか」と現在の情報提供の在り方に疑問を呈した。さらに「実は、患者が求める情報を医療機関自身が把握していないのではないか」と指摘。「競争と選別の時代を迎えた医療機関は、何をどのように広報すべきかを考える前に、地域の医療機関のなかで何が強みなのか、弱点は何かといった自施設の特徴を把握した上で消費者にアピールする必要がある」と提言した。

 

広報活動は自施設の価値を高める知的財産づくり

一方、日本広報協会広報アドバイザーで千葉商科大学政策情報学部教授である藤江俊彦氏も渡辺氏と同様に、「成熟期にある生活者の意識変化により、医療に対する患者の目は厳しさを増している」と指摘。こうした患者の医療機関に対する評価基準は、“ホスピタリティ”つまり患者の満足度が主体となりつつあるとし、「このように顧客がサービスの価値を決める生活者の時代においては、(提供する医療サービスの質によって)患者の満足度を高めると同時に、顧客との継続的な関係づくり(CS:Customer Satisfaction)によって、リピーターになってもらうことが大切」と医療経営の潮流を紹介した。

さらに、患者が認めるこうした価値は、対話(コミュニケーション)を通じて醸成されるものであるとし、「(医療機関においては)信頼こそ財産であり、広報活動とはその知的財産(アセット)づくりである」と広報活動の重要性を強調した。

 

建前上の美辞麗句から実践に裏打ちされた広報の時代へ

また、ホスピタル・マネジメント研究会幹事の本郷正樹氏は、「外来繁盛型の浅はかな広報の時代は終わった」と指摘。今後、求められる広報の目的として、(1)医療施設の機能分化と紹介・逆紹介の推進、(2)他の医療・福祉施設との連携-を挙げ、こうした方向性に沿った広報活動が不可欠になるとの見通しを示した。さらに、患者の診療負担費用の増加と長引く経営の低迷などを背景に、「今後は、患者のライフスタイルや負担能力にも配慮した広報が求められる」とした。

また、医療機関における広報の現状について「パンフレットや広報誌に並ぶ美辞麗句には、患者も職員も食傷気味なのではないか」と指摘し、「これからは、こうした建前を並べ立てた文字や画像ばかりではなく、実際の行動や姿勢で示す広報の時代」と述べ、今後求められる医療機関の広報とは、実践に裏打ちされた情報発信であり、こうした活動を具体的な行動に移す時期にきているとの見解を示した。

このほか、厚生労働省の法令担当者による医療機関の広告規制緩和についての講演や、医療機関や介護施設による広報活動の実践報告など、フォーラムは6時 間以上にわたって行われた。長時間にわたるプログラムにもかかわらず、会場では熱心に終始メモを取る参加者の姿が目立つなど、医療経営がシビアに問われる 今後の医療機関において、“広報”という新しい経営戦略に対する関係者の関心の高さが感じられるフォーラムとなった。

なお、2003年度には第2回同フォーラムが開催される。

 

*このレポートは、『Home Care MEDICINE』2003年1月号に掲載された記事を、出版社の許可を得て掲載しているものです。

 

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